「そんなの当たり前。

大事な彼女を守るのは彼氏の俺の役目だからな」



絶対に心にもないこと言ってる!



誰も助けてほしいなんて言ってないし、あれくらい自分で何とかできたのに。



叶真に対してこんなふうに思っていても、本当は助けてくれたことが嬉しかった。



こんなふうに助けてくれたの初めてだったから。



「よく言うわ。今まで完全放置気味だったくせに、美味しいとこだけ拾ってんじゃないわよ」



「別に放置してたわけじゃねぇよ。

乃愛に危険が及んでないか、ちゃんと見てたし」



そんなふうにあたしの叶真への株を上げようとしたって無駄なんだから!



相手は女遊びが趣味みたいな奴だよ。



口だけならいくらだって上手いこと言える。



「あーはいはい。

イケメンのそういうクサい台詞には心がひとつも動かないんでごめんなさいね」



さすが夏帆だ。



あたしも夏帆みたいに強く自分を持っていられたら、今の叶真が言ったことに少しもドキドキしないでいられるかな。