そこで席を立った叶真は、あたしの方へ近寄ってきて



「コイツだけは特別だから、あんまイジメないでくれる?

コイツをイジメていいのは俺だけだから」



あたしの頭を引き寄せて、恥ずかしげもなく言い切った。



特別って言われてちょっと舞い上がってしまったのは絶対に言わない。



ていうか、俺の所有物だから手を出すなって言いたいわけね。



少しでも叶真にときめいてしまったあたしのときめきを返してほしい。



「な、何よ! 叶真も望月さんと付き合うようになってから、頭おかしくなっちゃったんじゃないの!?」



村瀬さんが顔を真っ赤にして怒り、あたしの席から立ち上がって逃げるように教室を出ていく。



それを追って取り巻きの子達も教室を出ていった。



「ヒラギ、あんた意外とやるじゃない」



近くで見ていた夏帆が珍しく叶真を褒めてる。



あのイケメン嫌いの夏帆がイケメンを褒めるなんて、友達になってから初めて見た。