あたしはあんた達のそのメイクの方が怖いけど。
高校生なのに今からそんなメイクしてたら、この先のあなた達の肌状態は一体どうなるんでしょうかね。
まぁ、あたしの心配することじゃないけど。
いつもの調子で退く気配を見せない村瀬さんを諦め、夏帆のところへ一時避難しようと足をそっちに向ける。
「乃愛、どこに行くんだよ」
背を向けたあたしに意外な人が呼び止める。
信じられない気持ちで振り向くと、取り巻きの子達に囲まれながら、叶真があたしを真っ直ぐに見ていた。
嘘……、なんで叶真が声かけるの?
いつもこういう時は絶対に助けたり声かけたりしないのに。
「叶真、何声かけちゃってるの?
あ、可哀想なカノジョさんに気を遣ってあげてるんだ?」
バカにしてくる村瀬さんの声なんか、あたしの耳には入ってこない。
それは叶真も同じようで、あたしを見つめたまま黙っている。