「乃愛じゃん。
おまえ、こんなとこで何してんの?」
それあたしのセリフなんですけど。
叶真こそスーパーが似合わなすぎだし、買い物カゴ持ってるの想像できないっ。
「お、おつかい?」
「なんで疑問形なんだよ」
クスクス笑う叶真の足に隠れるようにして、小さな男の子があたしを見ていた。
「お兄ちゃん、そのお姉ちゃんだぁれ?」
あたしをじーっと見つめる小さな男の子に、目線を合わせてその場に座り込む。
「こんばんは。
お姉ちゃんは、お兄ちゃんと同じ学校に通ってる望月乃愛って言います。
キミは弟くんかな?」
ニッコリと笑いかけると、少し強張っていた顔から力が抜けた。
「ほら大空。ちゃんと挨拶できんだろ?」
叶真もその場に座ると、大空君と呼ばれた男の子に優しく言い聞かせる。