「大空、ひとつだけだぞ」



「うん! どれにしようかなぁ……」



お菓子コーナーの前を通りかかると、見覚えある制服を着た男の人がいる。



買い物カゴを片手に、どう見ても不釣り合いな格好だ。



「お兄ちゃん、2つはダメ?」



「ダメ。どっちかにしろよ」



こ、この声はまさか……。



見覚えある小さな男の子。



去年会った時より少し大きくなっている。



「うーん……どうしよう? 選べない」



そう言って顔をあげた小さな男の子と、制服を着て立っていた男の人を通して、バッチリと目が合ってしまった。