結局は、なんでお弁当を作ってほしいのかという理由を叶真に聞けないまま、家に帰ってきてしまった。



別に作るって言ったわけじゃないし、あたしのせいじゃないよね。



そう思いながら、自分の部屋の白い天井を見つめて、ベッドの上にあったクッションを抱きしめる。



それにしても、なんでキャラ弁なんだろ?



叶真ってそういうの興味なさそうなのに、なんか意外だよね。



考えないようにしようとしても、無意識でも叶真のことを考えてしまう自分に気付き、頭を横に振る。



「乃愛~? ちょっといい?」



お母さんがドアから顔を出してあたしを呼ぶ。



「ちょっとお醤油切れちゃって買ってきてくれない?」



家にいてもモヤモヤするだけだし、気分転換にはいいかも。



「いいよ。行ってくる」



「助かるーっ! 乃愛よろしくねっ」