必死に自分の気持ちを隠してるのに、これ以上あたしが好きになるようなことしないでよ。
熱くなる顔を両手で押さえて教室を出ると、トイレに駆け込んだ。
洗面所についてる鏡で顔を見ると、やっぱり赤くなっていてそれが余計に恥ずかしかった。
「つーか、マジでムカつく!」
廊下から聞こえてくるそんな声に驚いて、思わず個室に入ってしまったあたし。
そのあとすぐにトイレのドアが開いて、女子が数人入ってきたのが声でわかる。
「なんで叶真君の彼女があんな女なの?」
「柊君も何考えてんのか全然わかんないよね」
「ねぇ、友菜(ゆな)だってムカつくっしょ?」
友菜って名前ですぐにわかった。
いつも叶真の周りにいる取り巻きの子で、友菜って呼ばれた子はその中のリーダー格の子。
ボーリング大会の時に無理矢理、優勝賞品を決めようとした子だ。
「どうせ、叶真だって暇つぶしに決まってるわ。
普通な子が物珍しいんじゃない? 普段からレベルの高い子ばっかり周りにいるから」
悪かったですねー、普通で!