あたしがいることなんか完全無視で話しをしだす。
叶真が人気あるのはわかってるけど、なんかこういうの嫌だなって最近よく思う。
叶真は軽いし、こういう誘いだって断ることしないし。
「その好意は有難いんだけど」
ほらね、ハッキリ断らないじゃない。
最初からあたしじゃなくても、作ってくれる人なら誰でもいいってことでしょ。
モヤモヤする気持ちを押し込めて、早く叶真から離れようと席を立つ。
「乃愛に作ってもらうって決めたから」
居心地悪い教室から出ていこうとして、あたしの足を止めるそんな声が聞こえた。
思わず振り返ると叶真は、周りにいるどの女の子にも視線を向けず、教室の出入り口付近にいたあたしを見てニヤリと笑っていた。
意地悪く笑う叶真と不意に目が合ったあたしは、咄嗟に目を逸らす。
ドキドキうるさくなる胸の鼓動。
こんなことで叶真に反応しちゃうなんて。
また叶真のこと好きになっちゃうじゃん。