2人とも舞花には甘いくせに、私の事は可愛い舞花の良い比較対照にしている。
つまり遠回しに女らしくないだの可愛くないだのって言ってるってことだ。
別に、舞花みたいに元から可愛くないのは分かってるからいいけど〜。
「落ち着いてなな〜」
ギュッと腰に舞花が抱き付いてきた。
それからぎゅっーーと力を入れてくる。
「やだ、舞花!大丈夫だよ!」
私は舞花の頭をポンポン、と叩いて明るく言った。
純粋な素直な子だからすぐに真に受けて心配しちゃうから…。
そんな舞花だから好きなんだけど。
「良かった〜!ななが怒ってたから心配しちゃった」
舞花はパッと離れると嬉しそうに笑ってバッグを机にかけた。
「舞花、ちゃんとななの事見ててな」
「え、うん!」
急にせいが舞花にお願いをして、それだけ言うと自分の席に帰って行った。
チラッと舞花を見ると、嬉しそうに頬を赤らめている。
「舞花さぁ〜…」
私は舞花とせいを交互に見ながら考えた。
「なんでせいが好きなの?」
「え、え?!」
私の問いかけに舞花はさらに顔を赤くして目を見開いた。
その顔はまるでリンゴのようだ。
「いきなり、何!」
恥ずかしそうに顔を伏せて小声で喋る舞花。
「だって、舞花に甘いのは結人も同じじゃん?それに幼馴染で同じ時間を過ごしてきたのに。なんで結人じゃなくてせいなのかな〜って」
なんで今まで聞かなかったのに今になってこんなにきになるんだろう。
確かに、あの2人の性格は違うけどせいを特別だと思うにはちゃんと理由があるはずなんだよ。
他の女子とは違う理由が。
159センチの舞花を見下ろして、何を言うか私は黙って待ってた。
「わ、私がせい君を好きな理由は…」
小さな声で話し出す舞花。
私は聞き取れるように少ししゃがむ。
「小学生の時、女の子からいじめられて…助けてくれたのがせい君だったから。だから…特別なの」