「んでー?なんでケンカしたの?」
31のくせに見た目が糞若い母ちゃん。
案の定周りの目線は好奇なわけで
俺は無言のまま速足で歩いてく、
「小学校だっけ?最初呼び出されたの、それから中学大人しかったと思えばこれじゃん?」
油断したーとかブツブツ喋る母ちゃんを
無視してると廊下に屯してる奴らが
「かいとだせー、ねーちゃんに迎えきてもらってんのかよー、」
「うるせー、ほっと「ねーちゃんじゃないよー、母ちゃんだよー。」
おれの言葉を遮った母ちゃんを
睨んだけど効果は無くて、
「えー、わかーい!美魔女じゃんっ」
「はは、31で美魔女ってゆー?」
…
「えー?!てことはかいと15で産んだのー?!」
…ふっ
昔からそうだ。
昔から…
______玄関を出ると、俺の彼女
澤田カンナがこっちに気づく。
最悪のタイミングだ…
「……?」
母ちゃんの顔がギラリと歪んだ。
「はーん?なになに?彼女〜?」
ニヤニヤしながらおれの耳元で言う
まずい…非常にまずい…
無言のままそっぽを向くと母ちゃんが
「ねーねー、かわいこちゃん名前は?」
「澤田カンナです!かいくんと付き合って十ヶ月です!」
天使のような笑顔に比べて
母ちゃんの悪魔のような笑顔が
鬼に変わった…。
「あぁん?十ヶ月だと?なんで母親に言わねんだこら!」
「言うかよ!くそ!!」
睨み合う俺たち親子を見て澤田は
アタフタと慌てている。
「カンナちゃ〜んこいつとはチューしたのー?」
なんてこと聞くんだこのババァ…
焦りながら首を横に振る澤田を見て
つまんなそーに「ふーん…
あたしはバイクで帰るからっ
じゃあね〜」
教員の駐車場に目立つ単車に
またがりエンジンを掛けた。
澤田が焦って俺にバイバイと言って
取り残された俺は頭を抱えて座っているだけだった。