sideカンナ


_____ねぇねぇ澤田〜。


ガヤガヤとした教室でクラスの女の子が
私の席の前の椅子にどすんと座った。


窓の外を見て、文化祭がくると
もう一年なんだなと思い出に
浸っていたのに。


「澤田さ〜前から気になってたけど、かいとのどこが好きなの〜?」

「てか澤田から告ったってまぢー?」


かいくんのすきなとこ…?



……すこし沈黙が続く



「…ごめん〜すぐ出てこないならいいや!」



女の子たちはあち〜と言いながら
教室を出て行った。



帰りの道…


かいくんと下校しているときに
女の子に言われたことを思い出し
考えていた。

すぐには答えられなかったけど

かいくんはわたしの好きな人…

「澤田、前にも言ったけど大丈夫?」

「うん。」

「そーいや澤田んち初めてだな〜!」

つないだ手をぎゅーと握りしめて
にひひと照れ笑いする愛しい人。


こうやってかいくんが隣に
居てくれるようになってもうすぐ一年。


去年の文化祭の終わりに…

私が…




「さわだ!!どうしたよ??」

ボーとしてる私の顔を心配そうに
覗き込むかいくん。

空が綺麗だねと誤魔化し、

あぁ、よく見てるもんな〜と
私には眩しいくらいの笑顔を向ける。

「青スキ?」

「うん。青スキ。」


そっか〜と何か言いたげにするかいくん

「あ、ここウチ」


家に着くとかいくんの綺麗な瞳が
揺らいでいた。
________




「でっけええええええええ!!!」

キョロキョロと周りを見て
私の家を見渡す。
ふふ、可愛いな


確かにデカイマンションに住んでいる。
おにぃちゃんのおかげで、

エレベーターに乗り自分の部屋までの
階を押す。

「なぁ、兄貴が建てた家に住んでるって言ってなかったか??」

「あ、うん。下にも色んな人が住んでるよ。」

「!?…澤田の兄貴なにもんだよ…」

…………


似てるいるよ。

「かいくんに似てるよ。」

えぇ!おれに?!

こんなイカツイの?!


騒ぐかいくんを横目に私は笑いかける。
本当に一つ一つ愛しいよきみは…

「あ、ここ。」

自分の部屋にかいくんを招き入れると
かいくんの目が輝きながらすげ〜と
ずっと連呼していた。

「俺んちのもの全部廊下で収まりそーだな。金持ちなんだ澤田んちって」

「わからない。でも忙しいみたい。」


こんなに…こんなに広くなくてもいい

かいくんの大きい手があたしの頭を
ポンと撫でる。

「でも、まぁ、一人で居るにはデカすぎだな…」


…かいくん。


すげープールがあるー!と
ベランダに飛びつくかいくん。

なんで…分かるんだろ…

クチに出してないのに…

誰も気づいてくれなかったのに…





…不自由なさってなくていいわねぇ

…イイお兄さんだわねぇ

…お兄さんすごいわねぇ



周りからそーゆ声しか聞いたことない

かいくんはすごいなぁ…

ソファに座りかいくんがベランダのドアに張り付く姿を見ていた。

「しっかし、あつくねぇ??」

ワイシャツをパタパタと仰いで
ウチで飼っている愛犬と戯れる

「プール入る?」

え?!いいの?!とキラキラ光線を
私にしてくる。


かいくんにおにぃちゃんの水着を貸して
二人でプールにはいる。

「さ、澤田!露出しすぎじゃね?!」

慌ててるかいくんになんで?と聞く
もう私の裸なんて見ているのに
それでも照れながら抱きしめてくる。

かいくんは私の考えてること分かるのに
私はかいくんの考えてることが分からない




〝っとにあんたってダメな子ね…〟



あぁ、私ダメな子なのかな。

昔ずっと言われてきた言葉。

少し考えすぎて顔色が悪くなる。

「おい、澤田今日12時くらいまでいてもへーきか?」




「全然へーきだよ、おにぃちゃん朝に帰ってくるし」

「そっかー!よかったー!つか腹減ったな!」


今日はいつもより長くいれるんだ。
ふふ。嬉しさが込み上げてくる。

「プールあがってご飯にしよっか」

夕暮れの景色を見渡して
プールを後にする。