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昼休みの屋上で昨日あったことを
柳原に話す。

「そうか…そんなことが。大変だったな。」

ううん

「俺だけだったらグダグダしちゃったろうけど母ちゃんがいたから、」

母ちゃんは澤田を遊びに連れたり
一緒の布団で寝ていたり、
親の愛情を澤田にも注いでいた。

同情とかではなく、それが母ちゃん。
嵐のように騒がしい人だけど
俺や澤田のことまで大事にしてくれてる


「でも親父のこと聞くチャンスだったよな。『親』の話になったんだから。」


「澤田の親のことでさ、母ちゃんが忘れたほうがいいかもなって言ったから、もしかして俺のオヤジのことも忘れたいのかなーて思って、聞けなかったよ。」


空を見上げて慈悲的に笑ってる。
そんな俺を柳原が横目で見ていた。

「オヤジさんのこと聞いてめぐみさんを傷つけたくなかったんだろ。」

全く優しいよお前は…とボソっとゆーもんだから不覚にも照れちまった。

優しいとかじゃねぇ…

母ちゃんと2人でいた思い出が
崩れそうでびびってたんだ。

…いつか、聞けるのだろうか…


母ちゃんの好きな人って…

俺のオヤジってどんな人なのか…