ちらりと袖口から見えた腕時計。


圭人と家を出てから、まだ1時間しか経っていなかった。



その時計は、あたしが去年の誕生日に圭人にあげたものだった。



別れた実感なんてまるでなかった。

いつもと同じように圭人はあたしの横に座ってるし、当たり前に居心地のいい空気がある。