昨日降った雨は、朝方まで続いたらしい。

水たまりがたくさんできている。


あたしは、お気に入りのパンプスが出来るだけ濡れないように歩く。

彼は、ほんとは歩くのが早いけど、パンプスに気を使っているあたしを気遣い、ゆっくり歩いてくれる。


あたしは彼のそんな優しさが好きだ。


「美佳」


彼が差し伸べてくれた手を、あたしはすぐに握った。