そのボタンは、自転車のペダルの部分についていた。










そのボタンは、人を判別できる力を持っている。





そして、殺す力をもっていた。


















【ゆみちゃん】




















きょうは、かわいいじてんしゃでした。







ちいさいこがのるような、ももいろのあいらしいじてんしゃでした。








おはながあしらわれていて、みているわたしも、しあわせなきぶんでした。







このこをまもろう。




こんかいも、ちゃんとそうおもえました。











とてとてとおとがきこえてくるようなあるきかたで、そのこはきました。








かみのさいどをかるくゆっていて、ももいろのかみごむでとめてありました。








ふくもももをきちょうとしたいろ。








ももいろが、だいすきだとひとめでわかります。









あのこのことが、ひとつ、しれました。













そのこのちかくを、おとうさんらしきおとこのひとが、とおりました。












『ほら、ゆみ?


自転車でお散歩しよう。』








なるほど。



そのこのなまえは、ゆみというらしいです。







これからは、ゆみちゃんですね。








またひとつ、しれました。











のんびりとあたりをみまわしていました。










ぎらぎらとひかるめをしたおとこのひとがいました。











あれは、ゆみちゃんをねらっているのでしょうか。









それとも、わたし(ゆみちゃんの自転車)のことを…?










そして、ゆみちゃんは、おとうさんとどこかにいきました。










わたしは、かぎもかけずにおいていきました。










あたりをみまわしながら、そろりそろりとちかづいてくるおとこ。









あぁ

わたしをねらっているのだ。







そうして、わたしにふれました。









さぁ、開始。













男の頭のなかでは、カウントダウンが始まっているはず。






300……299……298……297……296……295……294……293……292……291……290……289……288……287……







あなたの命のタイムリミットですよ。






あなたは五分後にはこの世にはいれませんよ。








さぁ、苦しみもがいて死んでください。







わたしに触れたのですから。








これは、制裁です。








触れなければこんなことにはならなかったんですよ。










触れたから、あなたが、わたしに、ふれ、わた、ふれた、あ、あ、あぁ、あぁ
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ









あなたの脳を焼いて焼いて焼ききって






もだえて死んでいくのです。