やっぱりコンサートの理由がよく分からない…


俺が悩んでいることに気付いているのか、


「大丈夫ですよ。一輝先輩ならすぐ分かります。だからこそ晶さんもあんな分かりにくい言い方をしたんだと思いますよ。」



と、優しく微笑んで言った。



「そうかなぁ…」




でも…そうだな、これは俺が気付かなきゃいけない事なんだろうな…



しばらく無言の状態が続き、部屋が静まりかえる。

と思うと、ふいに麻結が口を開いた。



「…一輝先輩、あんまり抱え込まないで下さいね。」



「え?あ、ごめん…また考え事を…」



「え、あ、あの、あ、謝らないで下さい!!そ、そうじゃなくて…また一輝先輩、追い詰めてるような顔をしてたから…。
そんな深く考え過ぎずに、素直に行動する事も大事ですし…あ、また私偉そうに…すみません…!!」


急にわたわたする麻結。



本当、表情豊かで飽きないなぁ…。



「偉そうなんかじゃないよ。むしろ助けてもらってばっかだし。…ありがとう。」



思わず、ふっと笑みをもらすと麻結はようやく安心したように微笑んだ。



まあ…ほどほどに考えるか…




☆★☆★☆★☆



そして放課後、今からあるバラエティ番組の撮影に裕也と向かう途中、電車の中で裕也にもイベントの事を話した。



「え!僕らが?!すごい!!本当に!?」


「本当に。篠宮先輩が言って下さって…。上には通してくれるらしい。」



「いや、本当にすごいよ。だってあのイベントでしょ?!頑張らないとだね…!」


「うん…。」




そして不意に朝に言ってた麻結の言葉を思い出す。



言葉で言うよりも伝わりやすい…


俺らが言うよりも響く…



…なんだ?