☆★☆★☆★☆
そして翌日。
いつも通り図書室へと向かう。
「おはようございます、一輝先輩!」
俺の顔を見るなり、ふにゃりとした笑顔でそう言う麻結。
相変わらず可愛い…
…じゃない、黙ってばっかだと本当に変に思われる…!
「おはよ、麻結」
慌ててそう言って、麻結の向かい側の席に座った。
「そういや、昨日が対談だったんですね。晶さんから聞きました。」
「あー、うん。そうなんだ…それで…」
と言いかけて言葉を飲み、ずっと気になっていた事を聞いてみることにした。
「晶さんって…篠宮先輩だよね?け、結構仲良いの…?」
「そうですね…私が小ちゃい頃から共演したって事もあって、お兄ちゃんみたいな存在で。仲良いと思ってますよ。」
えへへ、と笑う麻結。
「そっか…。」
お兄ちゃんみたいな存在…って事は恋愛感情ではないのかな?確かにちょっと歳は離れてるし…
いやでも篠宮先輩のファンは高校生にも多いし…!何より篠宮先輩めちゃくちゃかっこいいからなぁ…
「どうかしたんですか?」
「え?いや、なんでもないよ!」
ダメだ…相手は俺の憧れの篠宮先輩なのに…
でもだからこそ勝てないっていうのが目に見えてて…
「一輝先輩、本当にどうしたんですか?」
麻結は、また黙ってしまっていた俺を見ながら、ふふっと天使のように笑った。
そうだな、勝手な思い込みをし過ぎたかも…
麻結の笑顔一つでいいように思えてくるから、俺は本当にちょろい。