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そして翌日。


いつも通り図書室へと向かう。



「おはようございます、一輝先輩!」



俺の顔を見るなり、ふにゃりとした笑顔でそう言う麻結。



相変わらず可愛い…



…じゃない、黙ってばっかだと本当に変に思われる…!



「おはよ、麻結」


慌ててそう言って、麻結の向かい側の席に座った。



「そういや、昨日が対談だったんですね。晶さんから聞きました。」



「あー、うん。そうなんだ…それで…」


と言いかけて言葉を飲み、ずっと気になっていた事を聞いてみることにした。



「晶さんって…篠宮先輩だよね?け、結構仲良いの…?」



「そうですね…私が小ちゃい頃から共演したって事もあって、お兄ちゃんみたいな存在で。仲良いと思ってますよ。」



えへへ、と笑う麻結。


「そっか…。」



お兄ちゃんみたいな存在…って事は恋愛感情ではないのかな?確かにちょっと歳は離れてるし…

いやでも篠宮先輩のファンは高校生にも多いし…!何より篠宮先輩めちゃくちゃかっこいいからなぁ…



「どうかしたんですか?」


「え?いや、なんでもないよ!」



ダメだ…相手は俺の憧れの篠宮先輩なのに…

でもだからこそ勝てないっていうのが目に見えてて…




「一輝先輩、本当にどうしたんですか?」



麻結は、また黙ってしまっていた俺を見ながら、ふふっと天使のように笑った。



そうだな、勝手な思い込みをし過ぎたかも…


麻結の笑顔一つでいいように思えてくるから、俺は本当にちょろい。