「……ちょっと行くとこ変更」



 そう小さく呟いた俺は座っている七歌の手を取って花火大会の会場とは真逆の方向に歩き出した。





「ねぇ、どこに向かってるの?」



「着いたら分かるから」



 どこに行くのかと心配そうな七歌にこれしか言わない俺。



 きっと不安がってるんだろうけど、今は黙って着いてきてほしいんだ。




「大丈夫だから」



 そう言って七歌の手をギュッと握ってから俺はある場所を目指した。