「あら、おかえりなさい。随分早かったのね。もう少しゆっくりしていても良かったのに」
宿へ戻ると、メルダは受付の先にある広間の暖炉に火をつけようと準備をしている所だった。
「手伝うよ。悪いな、忙しいのに抜けてしまって」
よいしょ、とメルダの横にしゃがむとぽいぽいと暖炉に薪を投げ込む。
「・・・どこに行ってたのか、聞いても大丈夫?」
メルダはおそるおそるカインに問いかける。
「ん?ああ。実はな、勇者に呼ばれてて城に行ってきたんだ」
「グレンのところに!?」
メルダはそれを聞いて、朝行き先を聞けばよかったと後悔する。