「おお!おはようメルダ!随分と早いな!」
アマルダが外に出ると、カインはこれまた大きな声でメルダに話す。
「アンタの声が大きすぎて、寝れなくなっちゃったのよ。まだ朝早いんだから、もう少し声のボリューム下げてよね!周りにも迷惑でしょうが」
「はははっ、すまん。つい天気がいいと声を張りたくなってしまうんだよ」
カインは毎朝宿屋の周りを掃除していた。
別にお願いしたわけでもないのに。
住み込みで働く事に反対されるかと思いきや、逆に両親には歓迎され、しかもくやしい事に顔もいいものだから、母のイルムに至ってはカインにメロメロである。
現にカインがこの宿屋で働くようになってから、女の宿泊客が増えた。
よく働いてくれるカインを逃すまいと父のクルドはメルダの婿に、と期待をしているようだ。
それに対してカインもまんざらではないらしい。
メルダの気持ちをよそに、勝手に話が進んでいる事にメルダは内心戸惑いながら生活をしている。