汗ばんだ男の顔を避けようと、慌てて瞼を持ち上げた。


カーテンから入ってくる木漏れ日が眼を突き刺す。


「っ、」

無意識に、私は真っ白なシーツを握り締めていた。

こめかみに冷や汗が伝う。


「よ、よかった・・・・」

夢、か。

束の間、私はそのままボーッと真っ白なシーツを見つめると、すっかり汗ばんだ手をブラウスで拭う。


夢の中に出てきたのは、男性恐怖症の唯一の原因となるトラウマだ。

忘れもしない、狐目の小太りの男。

たぶん、学生服を着ていたから私と同じ年齢か下なんだろうけど、太っている所偽かより老けて見えたあの男。


「・・・っ」


自然と目に涙が溜まってくる。

私は泣くまいと、ブラウスの袖でごしごしと拭う。


ナオは知らない。私が、男性恐怖症になった原因を。

ナオの前で泣き崩れた私は、あんなに気持ち悪いことをされたことなんてナオに言えなかった。


それに、ナオはそのことを問い詰めてきたり聞いてきたりはしない。。


ただ、優しく頭を撫でて、大きな腕で包み込んでくれただけだった。