気づくと二時間くらい経っていた。


私は少し喉が痛んでいたけど、このくらい大丈夫だろうと思い、昼ご飯の準備をした。




すぐに出来て、進藤先生を呼んで一緒にご飯を食べはじめた。




「先生は、幸治さんとはどういうお知り合いなんですか?」




ずっと気になっていた。



幸治さんからはお世話になった人だと聞いていたけど。




「あ、かなちゃんは知らなかったね。
僕はね、やごな大学の前には今のやごな病院で働いていたんだ。
それも小児科でね。


当時は小児科医が少なくて、小児科医でも多い喘息を治療するために、僕のように呼吸器内科専門の専門医が小児科にいることは珍しくなかったんだ。」



「そうなんですね。今では考えられませんね。」




「そうなんだ。今もそうだけど、昔はもっと医者不足でね。治せる病気も医者が少ないせいで、手遅れになることだってあったんだ。
そんな時に小児科にやってきたのが、研修医の佐藤先生だったんだ。」



へぇ。研修医ころから佐藤先生を知ってるんだ。




「佐藤先生は研修医だけど優秀で。僕の知らない小児について、すごく詳しくて。
僕は経験があるけど、小児の専門じゃないから佐藤先生に教えられることばかり。
本当に助けられたよ。佐藤先生は研修医なのにね。


それから数年後に、僕も小児の勉強をして、大学戻って、今度は博士号を取るために勉強したんだ。
それから教授になって、かなちゃんを教えてたって訳。」



「そうなんですね!すごいつながりですね。」



「今度はかなちゃんが研修医として、うちの病院に来る番だね。」



そんな、幸治さんとは違って、全く優秀じゃないから、無理だよ。



「私にはやごな病院で働くことなんて無理です。それに本当に医者になれるなんて思ってません。」




「じゃあなんで医学部に?」



「幸治さんにすすめられて。是非医学部へって言って授業費も出すからっていわれて。
結局は幸治さんではなく、幸治さんのご両親が出してくれることになったんですけどね。
出していただいた以上は、必ず医者になってお金を返さないと思ってますが。
果たしてこんなに体が弱くて、頭も悪くて、、、、、医者になれるのか。」





はぁ。こんなこと話してよかったかな。怒られるんじゃないかな。



と恐る恐る進藤先生を見ると、




「そんなことないよ。病弱でも医者になってる人はたくさんいるよ。
もちろん今でも病気と闘ってるけどね。患者さんの気持ちが一番にわかるから、その人たちはすごく患者さんから信頼されてるよ。
今は勉強だけで不安だと思うけど、病院で研修が始まれば、今の勉強が役に立つことがよくわかるよ。」



そうか、病弱だと人より苦労は多いけど、患者さんから信頼してもらえるなんて、すごいな。
今は不安だけど、、、、、




「まぁ、来年から研修でうちの病院に来る思うから、よろしくね!」



「はい、お願いします。」