~かなの寝た後のリビングでは~




「はぁ、かなのやつ、本当に自分のことになるとすぐ無理するし、相変わらず病気と向き合う姿勢がなってないなぁ。」




佐藤先生がつぶやく。




「そうだね。もっと自分のことを大切にして欲しいね。さっきは優しく諭したけど、こっちが怒ってると、絶対に聞く耳を持たないからね。」





と進藤先生が話す。





「普段は聞き分けがいいんですけどね。家のことも何でもやってくれますし。でも、いざ発作や熱が出たり、入院ってなると人が変わるんですよね。
監視されてるのが嫌なのかもしれません。施設をいた時のことを思い出してしまうのかもしれませんね。」




「そうだね。今回入院することになったきっかけは、はっきり言って僕のせいだ。
僕がここに来てかなちゃんに無理やり診察をしようとしたから。」




「いえ、そんなことありません。俺がいけなかったんです。
大学での単位のことに気づいてやれなかったから。」




「来週からも大学で補修があると思うけど、しばらく様子をよく見ていないとね。」




「進藤先生、そこで一つ相談なんですが。
しばらくうちにいてもらえませんか?」




「え?」




「あ、先生が家に帰りたくないのならいいんですけどね。俺一人じゃあ、かなのことを見ててやれるか心配で。今日仕事に久しぶりに復帰したら、目を離せない患者がいて。夜も帰ってこられるのかわからないから。」





「そういうことなの。僕は構わないよ。家に帰っても一人だし。マンションは隣だしね。」





「じゃあ、よろしくお願いします。」




「でも、僕がここにいて、お二人の邪魔にならない?」




「へ?」




「いやぁ、かなちゃん見てればわかるよ。かなちゃん、佐藤先生のこと大好きでしょ?きっと佐藤先生も。」




「な、な、何を言うんですか?っていうか何を知ってるんですか!?」





「まぁ、その話はおいおい聞かせてくださいよ。」




と進藤先生は、持っていたビールの缶を台所で洗い、ゴミ箱に捨てて、部屋を出ていった。