吸ってー吐いてー。



何度か繰り返す。




もう進藤先生の診察が怖くなくなった。




聴診器を離す進藤先生が、チラッと私の顔を見た。




「苦しい?」




あ、、、、、そういえば、寝起きに咳が出てたんだ。今は大丈夫だけど。




「今は大丈夫です。」




「今は?」



「さっき寝起きに咳が出てきて。」




「かなぁ、そういうことは先に言えよ。何かあってからじゃ遅いんだぞ。せっかく退院できたのに。」



「・・・・・・」




「そうだよ、体調がまだ万全じゃないから、いつ熱や発作が出てもおかしくないんだからね。」




「・・・・・・」




二人で、私をそんな責めなくたっていいじゃん。




「熱はなさそうだね。」




と、私の額に手を当てた進藤先生がいう。




「まだ起きてる?」




「いえ、もう寝ます。」




「それがいいね。何かあったら起こしてくれていいからね。僕は明日お休みだから。」




じゃあ、進藤先生は家にいるんだ。




「私は明日から大学な「かな、明日は休めよ。」




はぁ、せっかく明日から行けると思ったのに。っていうか明日休んだから週休が続くから、三連かぁ。




「もう大丈夫だもん。」



ボソッと言いながらソファを離れる。




すると手をがしっと引っ張られ、驚いてそちらを見ると、進藤先生だった。




「そんなことないよ。かなちゃん、こっち向いて。」



と言われ、進藤先生の方を見る。



「薬飲むのが遅れただけで、咳が出て苦しくなるなんて、まだ回復してない証拠だよ。
大学へ行けば、決まった時間に薬は飲めなくなるよね。さっきみたいに、自分で忘れてるときだってあるんだよ。この三日間、無理して外に出れば、熱が出ちゃうかもしれない。せっかく退院できたんだから、安静にしてよ。」



と諭されるように言われ、私は思わず




「はい、、、、、」




と返事をした。



そしてトボトボと部屋へ向かった。