「…奏多」


「ちょっと右肘上がってる」



その声の主は付き合って1年になる
彼氏の奏多だった。


奏多は私が失恋した時に告白してくれて
やけくそで付き合った人だ。



「分かってるよ」


奏多にだと当たりが強くなってしまう。

素直じゃないと分かっていても
直せなかった。


何より、プライドが許さないのだ。



私は少し苛々しながら次の矢を
おもむろに引きはじめた。