▼放課後デート
「澪っ!こっちだよ!早く来なきゃクリームあんみつクレープ売り切れちゃうっ!」
放課後になって駅前まで来てみれば、やはりナンパやスカウトの被害にあう澪。
「うっとおしいな」
眉間に皺を寄せて、少し機嫌悪そうに零した澪の本音に思わず笑みが零れる。
「ふはっ!澪でも怒るんだ?」
「そりゃあね‥‥‥‥‥せっかくの放課後デートなのに全然ゆっくりできないよ」
「ふふっ、澪かわいーいーっ」
なんだか怒ってる姿があまりにも可愛いから、いまだに声をかけてくるナンパ野郎をオールシカトする澪に手を差し出す。
「‥‥‥‥‥ん?」
「はいっ!手つなご?そうすればもう誰も声かけてこないでしょ?」
女の子同士で手握ってんの?って逆にみんな驚くと思うし。
私の差し出した手を何故かしばらく見つめた澪は、一度私の目をチラッと見た後、ふんわりと笑って
「ありがと」
私の手をふんわりと包み込むように握ったんだ。
「じゃあ、行こっか?」
楽しそうに笑う澪の目を見て、少し胸の奥が苦しくなった。
なに?これ‥‥‥‥‥。
胸がきゅうっと掴まれるような感覚。
つないだ手と手が、恋人繋ぎだから?
それとも想像してたよりも大きく骨ばった澪の手に、大切なものを包み込むかのように手を握られたから?
いまの私にはそれがなんなのかわからなかったけど、初めて澪と手を繋いで、なんだか感じた事のない感覚に、少し戸惑ってしまった。
澪、何か魔法でも使った?
なんだか顔が少し熱い。