「最低だけど、やっと別れられたんだって思ってる自分がいた。


だから、入学する直前に友達伝いに、やっぱりヨリを戻したいって白雪が言ってるって聞いたときは、勘弁してくれ、って思ったんだ。




どうすれば、白雪にバレずにすむかって考えて行動したのが、この女装。



声も高くして、女の子っぽくすれば気づかれるわけないっておもってた」







「澪、」





そうだったんだ。



それが澪の女装を始めた理由だったんだ。





澪は澪なりに沢山悩んでいたんだと思えば、なんだかすごく愛おしく感じた。







「本当は、すぐやめるつもりだった。


だってきもちわりぃだろ?男が女の格好って。


自分でもずっと嫌だった。これだってウイッグだし」





そう言って長い栗色ヘアーをつんつんと引っ張る澪。




「えっ!?そうなの!?」




「うん。地毛なわけないじゃん」




てっきり地毛なのかと‥‥‥‥‥。






と、なれば気になる本当の澪の髪。




「ウイッグとって?」




「スカートはいてんのにやだよ」




また今度ね。なんて苦笑いするから、あまりの可愛さにキュン。




本当やばい。顔面偏差値高すぎて横にいるのが本当申し訳ないよ。







私の複雑な思いには気づかず、澪はまた口を開く。





「女装なんてすぐやめるつもりだったのに、続けることを決意したのは、瑠花と出会ったから」




「え?」





私‥‥‥‥‥?







「女装と知ってるにもかかわらずに、仲良くしてくれて、誰にでも優しくて、いつもニコニコ笑ってて‥‥‥‥‥‥いつの間にか好きになってた。



この関係を崩したくなくて、恋愛対象にみられてないのはわかってたから、それならこのまま親友として居たいって思った。



だから、女装をやめることができなかった」








澪‥‥‥‥‥。






そうだったの?



ずっと私を好きでいてくれたの‥‥‥‥‥‥‥。






私そんなのなにもしらず、むやみやたらに抱きついたり、たいして好きでもない人と付き合ってみたり‥‥‥‥‥凄く傷つけてきたんじゃないかな‥‥‥‥‥。









「ほんと、毎回彼氏できたって聞かされるたび心臓押しつぶされそうだった。




だけど、何とか平然でいられたのは澪が大して相手を想ってないことがわかってたから。



いつか別れるだろうって思ってた」






私、そんな風に思われてたのね‥‥‥‥。





尻軽にもほどがあるよ!!!