「瑠花、ごめん。瑠花‥‥‥‥こっち向いて」
「っ‥‥‥‥‥‥」
「瑠花」
「‥‥‥‥‥み、お」
澪が優しく、私の名前を呼ぶから、つい顔を上げてしまったの。
視界に映る澪は、いつも見ていた女の子の顔じゃなくて、何かを決意したかのような、だけど色っぽい表情をした男の子だった。
涙目の私の顔を見るなり、苦しそうに眉を歪めると、優しく涙をぬぐってくれる。
「瑠花‥‥‥‥‥冷たくしてごめん‥‥‥‥俺、バカみてぇ」
「澪‥‥‥‥‥‥」
澪は気づいているのだろうか。
口調が男の子になってしまっていることに。
初めて聞く、澪の男の子の言葉。
こんな状況なのに、胸がきゅんとなった。