声は、いつも通り優しい声なはずなのに、澪の目と話し方が話しかけないで。そう言っている気がした。
「なんでも‥‥‥‥‥ない」
「そっか」
やばい。どうしよう。
私泣きそうだ。
今までこんなに冷たくされたこと無かったし、いつも澪は優しかった。
なんで?澪どうしたの?
そう聞きたいのにそれすらも聞けない雰囲気。
私に向けた背中が話しかけないで、そういってる気がしてそれ以上言葉をかけるのは無理だった。
近くにいたクラスメートの女の子に、早退すると伝えると、カバンをもって教室を出た。
もう、今日はこんな状態で教室で過ごすことなんて出来ない。
京太にも今日はいけないって伝えなくちゃ。
LINEを開いて、ごめんね。やっぱ行けない。
と送れば、もうしょうがないわね。次はキャンセル料とるわよ。なんて可愛いスタンプとともに送られてきた。
そんな京太らしいメールに、ふふっと笑みが溢れたと同時に、私の視界に透明の膜が張って、スマホの画面にポタリと落ちた。
「う‥‥‥‥‥ふぇ」
今頃、もう授業が始まる頃。
玄関口には誰一人として人が居なくて、スマホを握り締めながら崩れ落ちるようにその場で泣いた。