3人で夕食を食べる。

由宇は,心なしか,
いつもより
安心したような表情で
陽和に甘えている。

「さくちゃん,ひーちゃん,
 おやすみなさい」

由宇はそういって,
布団に入った。

「なんか…
 由宇…ホント…
 うれしそう…だな…。
 なんか,俺より,
 由宇の方が,陽和と
 一緒に住むこと,
 楽しみにしてたのかもな…」

「…え…,
 そ…そうかな…?」

「あ…!!
 やっぱ…訂正…」

「ん…?」

「やっぱ,一番楽しみに
 してたのは,俺…だわ…」

そういうと朔は,陽和を
後ろからぎゅっと抱きしめた。

「…朔…ちゃん…?」

「この時間は,俺が独り占め…
 だよな…?」

「…うん…」

「…あー…ホント…
 夢みたいだな…陽和が…
 ずっと…ここに居てくれる…
 …なんて…」

「…朔…ちゃん…」

陽和は,顔を赤くしながらも
朔の愛を感じ,幸せに浸っていた。

「お母さんとさ…話ができて
 よかったよ」

「…あ…うん…
 お母さん…何…て…?」

「うーん…内緒…」

朔は,すべてを話すのは,
ちょっと恥ずかしいなと思って
言葉を濁した。

「えっ!?」

「あ,でも,安心して。
 子どものころの陽和のおかげで,
 お母さん,すんなり受け入れて
 くれたみたいだから」

「こ・・子どものころ?」

「うん」

朔は少し笑って陽和の頭を撫でる。

「あの頃も,陽和,
 俺のこと…好きでいて
 くれたのかな…?」

陽和は,クスッと笑って
コクリと頷く。

「さっきね…朔ちゃん,
 昔の朔ちゃんに…
 自慢してたでしょ?」

「ああ…」

「私もね…昔の私に…
 自慢したい…。
 今,こんなに幸せだよって。
 あなたの憧れの朔ちゃんと
 今…ずっと一緒にいるよって。

 あなたが…今思っている何倍も
 情熱的で…かっこよくて…
 素敵な人だよって」

「…陽和…?」

そういうと,朔は
陽和をさらにぎゅっと
抱きしめ,首元にキスをする。

「俺…もう一個自慢し
 忘れた…わ…。

 陽和の…すべてに…俺…
 溺れてるって…」

「え…」

「あの頃の俺には,ちょっと
 刺激が…強すぎるかもな…」

「え…あ……」

陽和のその表情に,朔は
既に我慢できなくなっていた。

そっと抱きかかえて
寝室へと向かう。

「陽和…俺…
 公ちゃんに…言われたこと
 強ち間違ってなかったって
 思い始めてる…けど…」

そういって,苦笑している
朔に…陽和は…思いを伝える。

「ううん…大丈夫だよ…
 私…あの…こうしてるの…
 幸せ…だから…

 …あの……朔ちゃんと…
 …いっぱい…愛し合いたい…」

「え?陽和…今…なん…て…?」

朔は,思いもよらない
陽和の言葉をうれしそうに
聞き返す。

「…も…もうやだ!
 は…恥ずかしい…」

そういって,両手で
頬を押えて照れている陽和が
可愛くて…

「陽和…もう…
 どこまで俺を煽るの…?
 可愛すぎるんだけど…

 陽和…好きだ…
 陽和…」

そう言いながら朔は,
陽和の体をゆっくり味わうように
キスをし続ける。

陽和も…幸せな表情を浮かべて
それに応える。

この人を失いたくない。
あなたのそばにいたい。

思いはどんどん重なり続ける。

これから続いていく未来に
大きな希望を抱いて…

2人は,幸せを
感じ続けていた。



翌朝。

朔と由宇は,
お味噌汁のいい香りで目を覚ます。

「おはよう,ひーちゃん」

「おはよう,陽和」

二人は,この幸せな雰囲気が,
未来へと拡がっていることを
強く感じていた。

うれしそうにほほ笑む二人に,
陽和も自然と笑顔を返す。

いろいろなことがあった
これまでの…ごほうびのような
この時間を,3人は
深く深く,味わっていた。