公ちゃんに預けていた由宇を
迎えに行き,家路につく。

事情を知った公ちゃんは,
二人を冷やかした。

「ついに…かあ…!
 朔ちゃん…
 ひーちゃんの体力
 考えてやんないとダメだぞ」

「ば,ばか,お前な…」

「え,だって美咲から聞いたよ?
 すげえ…激しいらしいって…」

「え…!陽和,そんなこと
 美咲に言ったの?」

陽和はあわてて,首を横に振った。

「でも,すごいんでしょ?
 ねえ,ひーちゃん?」

公ちゃんが,そんな風にいうと
陽和は顔を真っ赤にして
俯いてしまった。

「ふ…わかりやす…」

そういうと公ちゃんはゲラゲラと
笑っていた。



「よし,帰るぞ!
 俺たち3人の家に!」

そう言った朔に,
朔の肩の上にいる由宇は
嬉しそうに応える。

「ねえ,ねえ,
 ひよりせんせいのにもつ
 ぜんぶおへやにはいったの?」

「うん,大丈夫だよ」

「あ…なあ,由宇?」

「なあに?」

朔は,由宇の方を見上げながら
話を続ける。

「もう,これから一緒に
 住むんだし,
 そろそろ,陽和先生っていう
 呼び方,かえねえか?」

「よびかた…?」

「ああ,なんか…
 無いかな…?」

「あ…じゃあ,ぼく,
 こうちゃんたちとおなじように
 『ひーちゃん』って
 よんでもいーい?」

由宇がそういうと,
陽和は嬉しそうにうなずいた。

「うん,じゃあ,これからは,
 由宇ちゃんは私のこと
 ひーちゃんって呼んでね」

「うん!」

朔は,二人の会話を,
ちょっぴり照れくさそうに
嬉しそうに聞いていた。