「二人乗りしますか」

「へ?」

私の荷物もカゴに入れると、自転車に跨って【乗って?】なんて言った。

跨るわけにいかないから、横に座って、風原くんの後ろを少しだけつかむ。


「落ちるって。それだけじゃ。ちゃんと掴んでよ」

そう言うと、自分の腰に私の手を回させた。

「え⁈え?!」

「行くよー」

「重いから降ろして!」

「朝も聞いたよ?」

「え…あ…」

「大丈夫だから、捕まっててね」

風の香りとともに君の香りがする。


この匂い…香水かな?

この香水…誰かが好きだよって言ってるの?

だから、つけてるの?


なんて思ってると、風原くんが言った

「自分の好きな香りだよ」