「行ってらっしゃーい!イヤホンして自転車乗らないでねー」


「はーい」


ママがわざわざイヤホンのことを言うのは、私が高校に入ってすぐにイヤホンをして自転車に乗っていたところを先生に見つかり、ママが呼び出しをくらったから。


私はその時ちょうどブラームスの『交響曲第2番』の大好きなコラールの部分を聴いていたので、先生に注意されても無視して行ってしまった。