うつむいていた芹沢くんが、私の声に顔をあげた瞬間、眼鏡がずり落ちた 「……笑っただろ」 「え」 思わず笑ってしまった私に、芹沢くんはそう言うと、眼鏡を外した 「――決まった?」 「あ、うん。しょうが焼き定食にする」 「おじさん、焼き魚定食と、しょうが焼き定食」 はいよー、とおじさんの声がしたけど、私は初めて見る芹沢くんの眼鏡ナシの姿に釘付けだった 「あんま、見ないで」 「う――あ、うん。なんか……新鮮で」