それからたまに彼女を見かけることがあった。


そんなある日、僕はクラスのグループが集まっていると、恋愛話がはじまった。

そうなると必ず話が僕に回ってくることは分かってた。濁すのも怪しまれるから、先生に呼ばれるんだった~っと誤魔化して教室を出た。



体育館裏の校舎で時間をつぶしていると
あの彼女がいたんだ。



すると目があって
「あのときの!し、しー城井くん?」


なんか安心する
まだ名前を覚えていまないところに



「こんなところで何してるの?」




彼女はそんなことは無視して
「城井くんって不思議だよね?
私の予想だと多分城井くんは城井くんを作ってるでしょ」


その後になんちゃって笑っと付け加えた


「あっあ!私神崎愛梨よろしくね」





僕は僕の中身を知られているような気がして、会話なんて耳に入ってこなかった。

固まったままの僕に


「さっきのは冗談だよ?
そういうの嫌い?だったらごめんなさい」



まだ何も言ってないのに謝る


今までないそんな何かを感じた。



「神崎さんだよね?
そんな風に言ってくる人いなかったらつい。そういう冗談面白いと思うよ!」



別に面白かったわけじゃない。

バレないように、かつ傷つけないように



そう言うと笑って、
「ありがとう笑
ここに来たのはね、特に理由はないよ笑」



そう笑ってどっかに行ったんだ。

今ならあのとき僕に言った
『城井くんは城井くんを作ってるでしょ』



見抜いていたんだと思う。