【愛梨】


僕は思わず呼んだ


すると驚いた顔をして走りだした



けど、男の僕にかなうはずなくて


愛梨は捕まった。



「どうして逃げるの?」


観念したのか力が弱まり

近くのベンチに座った



昔の僕らのように


ベンチに並んで座って何も話さなかった


けどそんな沈黙を愛梨が破った



「私病気なの
中学のあの頃私は病気だって診断されたの
それから最後の人生楽しもうって
そしたら、遥に会って
遥の事ほっとけなくなって………」


驚いた、


けど信じてるんだ、

だから


「治るんだよね?」


けど彼女から答えは返ってこなくて

僕は何度も聞いた

やっと返ってきた言葉は

「世界でも例のない難病なの
寿命も分からない。いつ寝たきりなるかも分からないの」

でも彼女は笑顔で言うんだ


本当は泣きたいと思うのに



僕は愛梨に救われて


今がある


僕は涼也に何も出来なかった


けど



もうそんな思いはしたくない


僕も愛梨を救う



何をできるか考えた


でも答えは浮かばなくて





「愛梨、僕が愛梨を守る」




気づいたらそう言っていた