教室に戻ってからも

そんなことをずっと考えていた


「遅かったじゃん」

グループのひとりの竜也(たつや)が言った

けど、僕は偽りの笑顔で答えるから
誰も僕の様子になんて気づかない。



その日の放課後
そのメンバーでカラオケに行こうとういう話をしていたらしい




けど僕は………


もう深い関係にはならない

 


浅くてうわべだけでいい




友達?親友?彼女?



僕にはいらない





「ごめんね。今日バイトだった」
丁寧に謝ってまた今度誘ってっと付け加えた



「なーんだっ」と言いつつ

「またね」ってみんなは言う。




みんなが帰るのを見送ってから、

僕は教室に戻り、時間を潰していた


バイトはしているけど、

本当は今日バイトの日ではなかった

けど、バイト先をみんなには教えてないから

僕は安心していた




机に伏せていると
「あれ?城井くん居るの?
バイトってさっき言ってなかったっけ?
教室の前通ったとき聞こえたけどなぁ」

私の勘違い?


そんなことを言っている声が聞こえたけど、声でわかった。


〈神崎愛梨〉

ゆっくりと顔を上げて
「あー、手違いだったみたい。なかったんだよね笑」



したら納得すると思った。
けど、神崎は真剣な顔をして

「なんで嘘つくの?
城井くんの笑顔見せてよ」



僕の目を見ていった。



「どうしてそう思う?神崎さんには……


すると目を赤くして今にも泣きそうな顔をして
「城井くん私に似てるんだよ。
そんな生き方してたらもったいないよ」



そう言って我慢してたと思う涙を流し出した。





はじめはどうしたらいいか分かんなかったけど、とりあえず背中をさすって「ごめん」と謝った。