初対面、しかも恩人に対してどんな目線で思いふけっているのだという制止をしたいところだが好奇心は止められないようだ。携えてある剣は使い込んであるように見える、手入れがしっかりされているからかきっとそれなりに価値がある物だからか古ぼけては見えない。間違いなく彼は剣技に通じている筈だ。
「…いけるかも。」
閃いた名案にシャディアは思わず呟いた。せっかくの巡り合わせ、この機会は活かす以外に何があるというのだ。シャディアは顔をあげて正面からイザークに挑むとしっかり目を合わせて口を開いた。
「イザークさん。私、実はやりたいことがあって村を出てきたんです。」
「やりたい事?」
突然切り出したシャディアの言葉にイザークは疑問符を浮かべた。
「いつか大きな舞台で、大勢の音楽好きの人たちの前で演奏して認められたい。だから人の少ない村を出てきたんです。沢山の人から拍手を貰いたいから。」
一度は答えを濁してすり抜けたことを今度はまっすぐにイザークの目を見て訴えかけてくる。シャディアの変化を不思議に思いつつも、イザークは真剣な眼差しを受け止めて耳を傾けた。
「結論から先に言います。イザークさん。」
「はい。」
「私の警護をしてくれませんか?」
「はい?」
自分でも驚くくらい口から自然と疑問符が打ち出される。素晴らしい瞬発力だったと自分を褒める前にイザークは自己処理に向き合ってしまった。
「私、大きな街に行きたいんです。むしろ王都を目指してます。そこまでの警護をお願いしたいんです。」
「は…。」
「意気揚々と村を出たはいいものの想像以上に治安が悪くて正直困ってたんです。今日も足を怪我しちゃったし、なのに長居も出来ないからすぐに発たないといけないじゃないですか。」
「はあ。」
「王都に行くまでまだいくつか街を通らなきゃいけないし、そこでも今日みたいなことがあったら怪我というハンデを抱えている分、次はどうなるか考えるだけで恐ろしいですよね。」
「はあ…。」
「だから、私が無事に王都まで辿り着けるように身辺警護をお願いしたいんです。違うって言いましたけど、イザークさんって騎士さまですよね?」
「は!?」
「あそこの所属じゃないっていうだけですよね?だって明らかな雰囲気ですもんね。これはもう間違いないですよね?」
「いや…。」
「もし違うならその腰にある剣はなんですかって話ですよね?見せかけにしても結構使い込んでありますよね?だったら周囲に威嚇するだけでも申し分ないです!」
「え!?」
これ以上にないくらい目と口を大きく開いてイザークが慌てて自分の剣に手を添える。別に盗るつもりはないと手で制しても、イザークのその姿勢は取られまいと抱える子供の用で少し可愛らしく思えた。
留まることなく次々と押し寄せてきたシャディアの言葉に圧倒され、土俵際に追い込まれる形で聞きに回っていたが、最後に大きな爆弾を落とされるとは思ってもみなかった。
「イザークさんみたいな人が傍にいるだけで十分に盾にも剣にもなります。もちろん依頼料だってきちんと支払います。きっと今は長期の休暇なんですよね?急げばきっと休暇中には終わる依頼なのでどうでしょうか?」
シャディアからの言葉に思わず目も口も開いて言葉を失ってしまう。いや、元々意味のある言葉を挟めていた訳ではないがまさに言葉を失ったのだ。何故、今日初めて知り合ったばかりの彼女が自分の予定を知っているのだろう。
まさにイザークはとある事情により少し長めの休暇をもらって、たまたま用事があったこの地に立ち寄っただけなのだ。そして彼の帰るべき場所は王都である。
「何故それを…。」
「騎士さまだということですか?それとも長期休暇、もしくは王都に行くまでに終わるという話でしょうか?」
シャディアの言葉にイザークは目を細めていった。そしてシャディアも同じように目を細めたが彼女はそれとは違い孤を描いている。
「そんな気がしたので。」
シャディアの笑顔は無邪気なようで何か含んでいる、言い表しようのない危機感を覚えてイザークは頭が痛くなった。
「…いけるかも。」
閃いた名案にシャディアは思わず呟いた。せっかくの巡り合わせ、この機会は活かす以外に何があるというのだ。シャディアは顔をあげて正面からイザークに挑むとしっかり目を合わせて口を開いた。
「イザークさん。私、実はやりたいことがあって村を出てきたんです。」
「やりたい事?」
突然切り出したシャディアの言葉にイザークは疑問符を浮かべた。
「いつか大きな舞台で、大勢の音楽好きの人たちの前で演奏して認められたい。だから人の少ない村を出てきたんです。沢山の人から拍手を貰いたいから。」
一度は答えを濁してすり抜けたことを今度はまっすぐにイザークの目を見て訴えかけてくる。シャディアの変化を不思議に思いつつも、イザークは真剣な眼差しを受け止めて耳を傾けた。
「結論から先に言います。イザークさん。」
「はい。」
「私の警護をしてくれませんか?」
「はい?」
自分でも驚くくらい口から自然と疑問符が打ち出される。素晴らしい瞬発力だったと自分を褒める前にイザークは自己処理に向き合ってしまった。
「私、大きな街に行きたいんです。むしろ王都を目指してます。そこまでの警護をお願いしたいんです。」
「は…。」
「意気揚々と村を出たはいいものの想像以上に治安が悪くて正直困ってたんです。今日も足を怪我しちゃったし、なのに長居も出来ないからすぐに発たないといけないじゃないですか。」
「はあ。」
「王都に行くまでまだいくつか街を通らなきゃいけないし、そこでも今日みたいなことがあったら怪我というハンデを抱えている分、次はどうなるか考えるだけで恐ろしいですよね。」
「はあ…。」
「だから、私が無事に王都まで辿り着けるように身辺警護をお願いしたいんです。違うって言いましたけど、イザークさんって騎士さまですよね?」
「は!?」
「あそこの所属じゃないっていうだけですよね?だって明らかな雰囲気ですもんね。これはもう間違いないですよね?」
「いや…。」
「もし違うならその腰にある剣はなんですかって話ですよね?見せかけにしても結構使い込んでありますよね?だったら周囲に威嚇するだけでも申し分ないです!」
「え!?」
これ以上にないくらい目と口を大きく開いてイザークが慌てて自分の剣に手を添える。別に盗るつもりはないと手で制しても、イザークのその姿勢は取られまいと抱える子供の用で少し可愛らしく思えた。
留まることなく次々と押し寄せてきたシャディアの言葉に圧倒され、土俵際に追い込まれる形で聞きに回っていたが、最後に大きな爆弾を落とされるとは思ってもみなかった。
「イザークさんみたいな人が傍にいるだけで十分に盾にも剣にもなります。もちろん依頼料だってきちんと支払います。きっと今は長期の休暇なんですよね?急げばきっと休暇中には終わる依頼なのでどうでしょうか?」
シャディアからの言葉に思わず目も口も開いて言葉を失ってしまう。いや、元々意味のある言葉を挟めていた訳ではないがまさに言葉を失ったのだ。何故、今日初めて知り合ったばかりの彼女が自分の予定を知っているのだろう。
まさにイザークはとある事情により少し長めの休暇をもらって、たまたま用事があったこの地に立ち寄っただけなのだ。そして彼の帰るべき場所は王都である。
「何故それを…。」
「騎士さまだということですか?それとも長期休暇、もしくは王都に行くまでに終わるという話でしょうか?」
シャディアの言葉にイザークは目を細めていった。そしてシャディアも同じように目を細めたが彼女はそれとは違い孤を描いている。
「そんな気がしたので。」
シャディアの笑顔は無邪気なようで何か含んでいる、言い表しようのない危機感を覚えてイザークは頭が痛くなった。