「1週間後に、絶対に戻るから」

ムリに決まってるじゃん・・・。




—1週間後—

「だるー・・・あついあっつ」

「はぁー・・・運動会練習って中学校かよー」

教室の中のみんなの話題は今日の『運動会練習』について。
私だって、ダルイ。
今、教室の扉の前にいるのがもう既にいやなのにさ。

ガラッ

勢いよく、私は教室の扉を開け自分の席を目指す。
・・・みんな、子供じゃないからもうイジメのようなことはしていない。
しかし、みんなの視線があきらかに自分に向いているのだけはよくわかった。

・・・ヤダな。見ないで・・・。

そう、思いながらカバンの中の荷物を出す。
宿題は終ったから、やることがないので弟の部屋に置いてあった小説を読む。

パラパラパラ・・・

適当に、ページを開きみんなに顔を見られないように、下を向く。
・・・怖いから。

「おはよ、美織!」

あ、

「愛ちゃん・・・おはよ・・・」


ざわっ

教室の中がいきなりざわっとし始めた。
愛ちゃん・・・?いや、違う。
みんなの見ている先は、ドア。

私も、視線をドアに向ける。

・・・は?

一瞬、重田に見えた彼女の名前は 江田 桜。

・・・桜ちゃん?

「おはよー、みんな!」

「江田ー!お前、大丈夫だったの?」
「桜、意識戻ったの?」
「柚のコト、もういいの?」

沢山の質問が桜ちゃんへ・・・。
私は、桜ちゃんと不意に目が合う。

「・・・私の心配?ありがとう。でも、美織はいいの?」

「「「え?」」」

質問した人が、一斉に出した声。

「美織、一人なのかな?」

「だって、古木は呪われてるぜ?」

「誰が決めたの?」

その声は、私があの時聞いた声でぞわっとした。
それと同時に、安心感がきて涙が出そうになった。
私は、一人じゃなかったから。