桜ちゃんが話した内容は、柚が死んだこと。
そして、その恨み。

「・・・だからさ、美織の携帯に田村のなんか証拠になるようなもの・・・持ってない?」

いまいち、意味が分からないが・・・。
きっと、携帯の中身で愛ちゃんが残したコトだろう。

「ないんだ・・・よね。こないだ、間違えて消しちゃってさ」

「美織も・・・か。」

間違えてなんて、嘘だよ。
ダメ。
見つかっては・・・

あ・・・ダメだ。
きっと見つかる。
証拠があった。きっと、クラスみんなの携帯の中にもある。

・・・そう、クラスのライン。
私が、落ち込んでいるときに送った桜ちゃんと柚ちゃんのメッセージ。
「大好き」と送って、愛ちゃんが怒りの顔文字の怒りのマークを消して、その数日後に柚ちゃんは死んでいる。

・・・気づくかな。

「やっぱ、証拠って田村の頭の中とかうちらの記憶にしかないのかな。」

「えっ・・・そ、そうだね・・・難しいね・・・計算してるの・・・かな?」

焦りすぎた。
バレバレかも。

「美織は、田村に生きていてほしいの?」

「え」

「だって、今だって何かを隠したよね。・・・わかるよ・・・」

「ごめん・・・」

やっぱ、バレた。

「重田を殺されていても、美織は生きていてほしいってこと?」

そんなことわかってるよ。
自分が、なんで愛ちゃんに生きていてほしいって思うかって私だって疑問だよ。

「・・・生きていてほしいの?っ答えて」

「・・・・・・・・・うん」

「な、なんでっ!?殺されたのに・・・バカじゃないの?美織」

「じゃあ、今教室に来てみなよ。私にかかわった人がみんな死んでいくってなって私は今一人なんだよ!・・・一人はツライよ。だから、桜ちゃんも柚ちゃんといたんじゃないの?」

・・・もう、言ってしまえ!

「でも、愛ちゃんは私を守ってくれる。私をかばってくれる。こんな最強の友達なんていないでしょ?そりゃあ、愛ちゃんが生きていることによってきっと人は死んでいくよ。けど、自分が一番かわいいもん。自分を一番に守りたいもん。今は、その考えでいいんじゃないの?」

「ばかでしょ・・・。美織」

「バカだよ!バカだから、自分を守る方法しか考えられないんだよ。じゃあ、教えてよ。どうすれば、みんな幸せに終れるの?

「だから、田村を警察に・・・」

「それじゃあ、また私が疑われ・・・」

やっぱ、自分が・・・かわいいんだ。私は・・・いやだよ。こんな自分。

「疑われても仕方ないじゃん。田村がアンタを好きなんだからさ!」

「そんな・・・」

「ウチもいるじゃん。アンタとうちは同じくらい悲しい体験をしたじゃん!一人とか言わないでよ。早く、退院するから」

・・・一人じゃ・・・ない?