〈桜 side〉

暖かい光が私の顔を照らす。
まぶしい・・・。

目を覚ますと、鼻からは消毒のにおいが入ってくる。
ここは、病院。
疲労により、私は入院している。
・・・と、ここまでぼやけながらも思い出す。

そして、最大の苦しみ、柚が死んだことも思い出す。
目の前で・・・。

そう考えるとあの時の傷が痛んでくる。

・・・いった・・・。

左の机には、果物ばかり。
好きなジュースもないし、おかしもない。
果物はむいてないそのままの状態のもの。
窓が開いているから虫が果物をかじっている。
汚い。

右には、紙が壁に貼られていた。

「起きたら電話して  母」

・・・お母さんか。
ま、お母さんも忙しいし・・・いつまでも私に付き添いできないよね。

「はぁ~・・・」

ため息をつきながら体を私は起こす。
携帯をとり、電話。相手は、もちろん母親。

ぷるるる・・・ぷるるる・・・ぶちっ

『もしもし?起きたの?』

「うーん、今」

『そ?お母さん、今仕事中だから終わったらそっち行くわ』

「忙しかったら来なくていいからね?」

『お母さんが行きたいだけよ、多分家族みんなで行くかな」

「えー・・・うるさくなるじゃん」

『ふふ、そうね!じゃー、お母さん仕事に戻るね』

「うん」

お母さんと私の会話は1分もたたないうちに終わる、いつものこと。

「はぁ~・・・」

もう一度私はため息をつき決心する。

・・・愛ちゃんを通報することを。