翌日 愛ちゃんは風邪で欠席した。
4月は、あんまり欠席しないほうが良いと思うけど・・・。

「はぁー・・・今日さ、アイツこないんやろ?」

桜ちゃんが教室の奥で柚ちゃんと喋ってる。

「こないよー、桜・・・喧嘩とかもうダメだよっ」

「はいはい・・・。」

・・・あの二人は、すごく仲良いんだな・・・。
なんでかな?
不意に気になった私は質問することにした。

一歩一歩・・・。

「あ、あのさっ!」

「ん?何?」

答えてくれたのは桜ちゃん。


「二人はどうしてそんな仲良いの?」

「「え?」」

かぶってる。声が・・・すごすぎでしょ。

「うちら、中学で同じ部活やってたからさ。それで、知り合って~・・・仲良くなった!みたいな感じー」

「へぇ~・・・結構前から仲良いんだね」

「いや、仲良しだけど喧嘩は並み以上にするよ~」
「確かに、柚がわがままなんだよねぇー」
「え?・・・桜じゃん!わがままなのわっ!!」

・・・ん?これは・・・もしや・・・。

「はぁ!?アンタ、いつも アレしたい とか言うじゃん!」
「桜だって言ってるしっ!」

・・・やっぱり。
喧嘩だ・・・。

でも、なんでだろう・・・。
全然焦らないし、むしろ微笑ましい光景。

・・・これが、『喧嘩するほど仲が良い』ってことなのかな?

キーンコーンカーンコーン・・・

チャイムが鳴った。
座ろー・・・っと。


「えーっと、今は先日行われた入学式の感想と、これから将来何をしたいかをこの2枚の紙に書いてもらいまーす。みなさん、高校生なので綺麗な字で、正しい日本語で書いてください」

・・・将来か。

「ちなみに、さっきの時間に先生は田村さんのトコに行ってきて書いてもらいました。」

「田村って誰?」

教室のどこからかする声。
田村・・・は、愛ちゃんだよ?

「田村 愛さんですよ。まだ、覚えてないのですね?」

「あぁ~・・・。あの子か。あの子、顔は可愛いけど黙ってればいいのに喋るから・・・さ」

「はいはい、そんなのは今、聞いていませんよ?下田君」

「さーせんっ」

・・・身長が高くて、体格はガッシリしている 下田 守君。
確か、中学時代もバスケ部で現在もバスケ部所属・・・。
あんまり嫌われているタイプではなさそうな男の子。

「えっと、将来の夢・・・を読もうかな?・・・あら、かわいらしい」

・・・?

「『私の将来の夢は、H・M と結婚することです。もちろん、学業も成績を上げ、親孝行し、社会にでて恥じない人間になりたいです。そのため、高校ではいろいろな活動に積極的に取り組み、友達と仲良く友情を深めあい頑張っていきたいと考えています。一年間、よろしくお願いしますっ!』」

・・・H・K・・・?
まさか・・・。



私?



そんなわけないか・・・。びっくりした。

少し、胸にモヤモヤがありながらも私は、2枚の紙に文字を書いていった・・・。