201号室 重田君(16)

重田の病室は個人用で、重田の名前しか書かれていない。

「あら、どなた?」

「あっ!私・・・古木 美織 と言います・・・」

『彼女です』っていうべきなのかな・・・?
でも、コレは・・・重田にいってほしいな・・・。

「・・・古木・・・みお?あ~・・・彼女さんねっ!」

「え・・・?」

「息子から聞いてるわ~!彼女ができたー大好きだーって」

・・・重田・・・。

「ありがとう・・・あの子といてくれて」

「・・・いいえ・・・私こそ・・・」

ガラッ

・・・え?

「めっちゃ寝てなかった?」

「重田?」

「よっ、あー頭イテー。超イテー」

「・・・なんで・・・意識不明の重体って聞いて・・・」

「俺、なめないでよ」

・・・しぃ

「重田ぁああああ」

「声を下げてくださいっ!ほかに患者がいるんですっ」

「あ・・・」

「プハッ。中、おいで?」

重田・・・大好き、大好き、だーい好き。
ありがとう・・・生きていてくれて。

私は中に重田とともに入っていく。
重田の母は、入らず「待っているから」と言って部屋の外のイスで待っていてくれた。

「ふー・・・触ってみてよ!この、ベッド。超フカフカ!」

「わぁっ・・・本当だ。」

「寝るのを、さらに心地よくするんだってさーいやー寝やすい。」

「重田・・・死なない?」

・・・怖いよ。

「うん」

「ほ、ホント?」

「うん。」








今になって思うのは重田が嘘をついたこと。
重田は、この日の夜・・・


自殺


した。
本当は、あの時もずっとヒドイ頭痛にあっていて起きよう、歩こう。
ソレすら苦しい状態だった。
けれど、重田はあの時私のために起き上がってくれた。
重田は、首つりだと死体処理がひどいというのを知っていたから、自分の点滴を抜いた。
そして、栄養失調 という名で死亡。
・・・16歳。

「死なない」と言ってくれた。
「大好き」と言ってくれた。


そして、私もあなたが大好きだった。