【山村 あかり サイド】

あれは、暑い日だった。
私は、あの日大好きなひとがいじめられている現場を見た。

「おーい、ゆーちゃん?ゆーちゃーん?シスコーン」

いじめられているのは、 古木 優 。
私と同級生。
ほんの少し前から気になっていて、恋だと最近気が付いた。

彼は優しい人だ。

「うるさい!お姉ちゃんは、僕の憧れなんだ!」

「は~?マジ、お前頭イカれとるー」

バカにしている男子。
それを「かわいそう」とか言いながら笑っている女子。
見てみぬフリをする先生。

・・・残酷。

「あかり、ダメだからね。助けたら!」

私は、心友に自分が彼を好き といってある。
もちろん彼女は、バラすということは絶対にしない子。

「・・・うん」

自分の身は自分で守らなくちゃ・・・。

その当時の私はずっとソレを思っていた。

彼のいじめは、日を増すことにだんだんヒドくなってきた。

まず、女子もいじめに加わったこと。

「優ちゃーん、今日もお姉ちゃんを迎えに行くの?」

「古木って、今もお姉ちゃんとお風呂入ってるの?」

あること、ないこと 言って・・・バカじゃないの?

「・・・」

古木は、とうとう黙ってしまう。
クラスが怖いだろう、何も言っていない私も彼の眼にはきっと同じだ。

古木は、トイレに呼び出されたり、ごみ箱に捨てられたり、とにかく無視されたりしていた。

けれど、彼は強かった。

毎日、絶対学校に来て弱いところを見せなかった。
テストでは、絶対に100点をとってきた。
授業中もあてられてもスラスラと答えを言った。

・・・けど、それがまたあいつらのネタになる。

「何、いい子ぶってんの?」

「いい・・・いい子ぶってない。これが、僕。」

・・・その通りだと私は思っていた。

そんな日がずっと続き、
ついにあいつらが、恐ろしい計画を立てる。