まくった袖を元に戻し、私は友達の後ろに隠れた。


「おい、本橋、早くやろーぜ!」


そんなことお構いなしに、吉田くんは私の名前を呼ぶ。


てゆうか、なんで私なのよ!

なんて言いたい気持ちをグッ、と堪えて睨んで見た。

が、そんなこともお構いなしに、ドカドカと女子の群れに入ってきた。


「ひゃっ!」


吉田くんは私が逃げないようにか、腕を掴むとコートに連れて行く。


「よし、やるぞ!」

「え、ちょっ、まってよ!」

「ん?やる気満々なんだろ??」

「そ、そうだけど…」


不思議そうに私を見てくるが、それが余計に恥ずかしい。

周りはクスクス笑って助けてくれないし。

なんだか、変な感じがする。


いつも、隣で並んで、あまり正面で顔を見ることなんてないからかな。


思ったよりも身長が高くて、迫力がある。

まるで、教室で寝ている彼と、今目の前にいる彼は別人のようだ。