ピピーッ


体育教師の笛の音で全員がコートに集合する。

今日は、男女混合でドッヂボールをするらしい。


意気揚々と男子が集まる中、女子はだらだらと始める。

「優、あんただけガチでやる気なんだけど」

「ん??」


体操着の袖をまくり、男子の群れに混ざろうとしている私を止める友達。


「え?だって、やらないの??」


いつもはみんな盛り上がるのに、どうしてか、今日はあまりやる気がないご様子。


「てか、普通に男子の目もあるし」

「うんうん。
それに、危ないじゃん?」


男子の目?


男子が投げたボールが当たったら危ないのはわかるけど、男子の目、とは?


チラッと男子に目をやる友人たち。

その中には、意中の人や彼氏だったり。


「もーー!!やだ、やだ!そんなのつまらない!」


普段女子っ気をアピールしてるみんなからすれば、体育をガチでやるのは恥ずかしいということ。

そんなことを気にしない私。

みんながやる気出してくれないと張り合いがない。


「優は、別にあそこに混じれるでしょ?」

「たしかに。
普段から男子と仲良いもんね。


特に、吉田くんと」


ほれ。と、指差した方を向くと、首をかしげた吉田くんと目があった。



"俺、本橋のファンだから"



急にさっきのフレーズが頭に響いた。


男子たちの中心にいるはずの吉田くん。

女子の中心にいる私。

本当に、私の方を見ているかなんてわからないのに。

目があったなんて…。



自意識過剰もいいところだ。


なんだか、恥ずかしくなってきた。