「ジェニファー!」
「あすか!」
成田国際空港第二ターミナルの帰国ゲートの前で、二人は興奮して叫び声をあげた。
「Welcome back!」
あすかが手を広げると、ジェニファーがぎゅーっと抱きしめる。
「会いたかったよ〜」
「私もっ」
結婚式を来週末に控えて、ジェニファーは一足先に日本へと来てくれた。
ダウンジャケットからデニムの細い足が覗く。相変わらずスタイル抜群だ。
二人は腕を組んで、歩き出した。
「ホテルどこ?」
「ううん。今回は、元カレのアパートに泊まることになってるの」
ジェニファーがしれっとそんなことを言う。
「よりが戻ったんだっけ?」
「んなわけないわ。あんな優柔不断男」
「じゃあなんでそこに泊まるの? なんていうか、良からぬことが……おこるかもでしょ?」
あすかが言うと、ジェニファーが「またお堅いことを」と笑う。
「いいのよ。そんなことがあっても。二人とも割り切ってるの」
「そうかなあ」
「そうよ!」
あすかは、このジェニファーの感覚にイマイチピンとこない。
だって、セックスって大切な人とするものでしょ?