結局眠れずに、朝が来た。
翠は、颯太が消えて行った扉を、ベッドの上に座り込んで、見続けている。
「昨日のあれはなんですか」
そうやって、聞いてみる? それとも。
「おかしな夢見ちゃって」
とか、ごまかしてみるとか。
いやいや、向こうの出方を見た方がいいかもしんない。
「実は……」
って言いだしたら、聞いてやろう。
「ちょっと、発情しちゃって」
とか言ったら、ぶん殴ってやろう。
「よしっ」
翠は久しぶりの戦闘態勢をとる。
これは戦い。真実の探求だ。失われた時間のことを、颯太が少しでも知ってるなら喋ってもらおう。
洗いざらい、白状してもらうからな。
翠は着替えると髪を一つに結い上げた。
「かかってこいやーっ」
翠は勢い良くリビングへの扉を開けた。