昴からの突然のプロポーズに、息を吸うことを忘れてしまいそうになる。


再会しただけでも、予想外なのにまさかプロポーズだなんて!


嬉しいとかの前に、まだ気持ちが整理できなくて何も言えない。


「……昨日さ。俺、梨子との思い出の場所。高校とか、西洋堂とか、この公園まわったんだ。」


「えぇっ!?昴も!?」


そして私は、安友先生の言葉や西洋堂で見たケーキの銀紙の事を思い出す。


昴だったんだ。



「昴も?ってことは、梨子もまわったんだ。懐かしかったよなぁ。梨子のこと好きなんだって再確認できた。」


「うん。好きだったんだなぁーって。でもあの時は、もう思い出から覚めて現実に……もう、過去にしなきゃって。」


昴は切なそうに微笑んだ。


「梨子は……終わらせる為にまわったの?俺はまた、始める為にまわったよ。」


終わらせる為にまわった。


終わらさなきゃいけないと思ってた。


だって、昴とはもう会えないと思ってたし。


「でも俺は今、梨子の前にいるよ。変わらず梨子のことが好きだ。」


「出発の飛行機の中で、だっせーけど泣いたよ。梨子と離れることが辛くて。」


「なぁ、梨子。俺はずっと、辛い時も苦しい時も梨子の事を思い出してた。」


「梨子がいなくて、死ぬほど寂しかったよ。」