春。

桜の花が辺りをピンク色に染め、様々な門出を祝ってくれる。


「いってきます!!」
勢いよく玄関から飛び出し、この間買ったばかりの自転車に跨ると思い切り息を吸い込んだ。
ペダルに足をかけ、気合を入れ踏み込む。
「気をつけてよー」
とお母さんが手を振ってる。私は軽く手を振り返しペダルをこいだ。


私、高倉夏希はこの春から高校生になるバスケ命!!な女の子だ。
今日は待ちに待ったバスケの強豪、快星高校の入学式。中学でそこそこの成績しか出してない私に快星からのスポーツ推薦が来た時は泣きそうなくらい嬉しかった。
真新しい紺色のブレザーを身にまとい、20分程自転車をこぐと見えてくる快星高校。

この時の私はまだ気づいてなかった。ここから始まる物語に。いつまでも忘れられない貴方との出会いに…。